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あの桜が、満開になっていた。
三月のはじめに、まだ寒い朝に一人で咲いていたあの木。気づけば四月に入り、今度は本番の春の中に立っている。
季節が、ようやく追いついてきた。
近所の公園で、一人のお花見
毎年、同じことをする。
近所の小さな公園に、一人で出かける。特別な道具は持っていかない。ただ、その木の下まで行って、しばらく上を見上げる。それだけのことだ。
誰かを誘うわけでもなく、誘われるわけでもない。自分だけの静かな花見が、私にはちょうどいい。
一本しかない
この公園には、桜の木が一本しかない。
にぎやかな花見の名所とは、ずいぶん違う。でも、一本だけだからこそ、その木のことをちゃんと見る気がする。ほかに目移りしなくていい。
その一本だけを、ゆっくり見ていられる。
今年は、少し小ぶりだった
今年の花は、少し小ぶりだと思った。
老木なのか、去年より花の数が少ない気がする。枝の先まで白くなるというよりは、ところどころに花が集まっている感じだ。
でも、それが弱さには見えなかった。長い時間をかけて咲いてきた木の、今年の姿がそこにあるだけだ。
小ぶりでも、咲いている
満開であることに、変わりはない。
花の大きさや数が、その年の全力だとしたら、今年はこれが精一杯だったのかもしれない。それでも、ちゃんと咲いている。
そのことが、なんとなく嬉しかった。
また来年も、ここに来る
花見が終わって、公園を出る。
振り返ると、その木がまだ見えた。来年も、またここに来るだろう。そのときの花が、今年より多くても、少なくても、どちらでもいい。
咲いていてくれれば、それで十分だ。

