夜に選んでしまう、少し苦いもの

味の記憶

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夜になると、なぜか選んでしまうものがある。

甘いものでもなく、分かりやすく元気が出るものでもない。むしろ、最初は「おいしい」と思えなかった、少し苦いものだ。昼間なら選ばないのに、夜になると自然に手が伸びる。

理由を考えようとすると、うまく言葉にできない。ただ、その時間帯には、それがしっくりくる。

昼と夜で、欲しい味が違う

昼間は、はっきりした味を求めている気がする。分かりやすくて、考えなくても選べるもの。忙しさの中で、迷わず決められることが心地いい。

でも夜は違う。静かになって、余計な音が減ってくると、味に対する感覚も変わってくる。はっきりした甘さや強さより、少し遠回りな味がちょうどよく感じる。

苦みがあるからいい、というわけでもない。ただ、その曖昧さが、夜の空気と合っている。

好きだと気づいたのは、あとから

最初から好きだったわけではない。むしろ、何度かは「やっぱり違うかな」と思ったこともある。それでも、しばらくするとまた選んでいる。

気づけば、家にあると安心する存在になっていた。なくても困らないのに、あると落ち着く。そういうものが、いつの間にか「好き」になっている。

好みは、決めるものじゃなくて、気づくものなのかもしれない。

夜は、味に理由を求めなくていい

昼間は、効率や正しさを考えることが多い。どれがいいか、どれが合っているか。選ぶ理由を自分に説明しながら動いている。

夜は、そこまで説明しなくていい時間だと思っている。疲れているのかもしれないし、ただ静かになりたいだけかもしれない。理由がはっきりしないまま選ぶことを、許してもいい時間。

だから、少し苦いものが残るのかもしれない。

変わったのは、味覚だけじゃない

昔は、分かりやすい味のほうが好きだった。苦いものは、大人っぽくて、自分には早い気がしていた。

今は、その境目があいまいだ。好きかどうかより、今の自分に合っているかどうか。それだけで選んでいる。

年齢のせいにするほど大きな変化ではないけれど、確実に、何かは変わっている。

今日も、理由は考えない

今夜も、たぶん同じものを選ぶと思う。理由を探す前に、手が伸びる。

それが正解かどうかは分からない。でも、その時間を過ごすには、ちょうどいい。

夜に選んでしまう、少し苦いものは、今の私にとって、静かに寄り添ってくれる存在なのだと思っている。

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