まだ戻りたくない

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まだ、人のいる場所に戻りたくないと感じる朝がある。

何かあったわけではないし、疲れ切っているわけでもない。ただ、もう少しだけ、自分だけの状態でいたい。そんな気分のまま、海の次に向かう場所がある。

それは、川だ。

川は、向こう側を求めてこない

海は広くて、遠くまで続いている。

見ていると、意識が外へ外へと向かっていく。でも川は違う。視線は流れに沿って動くけれど、遠くへ行こうとはしない。

今いる場所の延長として、ただ流れている。その感じが、まだ戻りたくない気分によく合っている。

人の気配が、薄い時間

朝の早い時間の川辺は、とても静かだ。

散歩する人も、走る人もいない。音といえば、水の流れる音と、鳥の声くらい。

誰かの視線を気にしなくていい。ここでも、役割は必要ない。

流れを見ているだけでいい

川では、何かをしなくていい。

座っていても、立っていてもいい。どこかへ行く必要もない。ただ、流れている水を見ているだけで、時間が進む。

海ほど強く引き込まれず、街ほど情報が多くない。その中間にある感じが、ちょうどいい。

考えは、勝手に流れていく

川を見ていると、考えごとが自然にほどけていく。

整理しようとしなくても、重たいものから順に、勝手に流れていく。残るのは、今ここにいる感覚だけだ。

何も決めなくていい時間が、ここにはある。

戻る準備を、しなくていい

海を見終わると、少し整った気持ちになる。

でも川では、整えることすら、しなくていい。まだ途中のままで、立ち止まっていても許される。

「次どうする?」と聞かれない場所。それが、今はありがたい。

人の世界に、近づかない選択

川は、街の近くにあることが多い。

それでも、人の世界とは、少し距離がある。完全に離れてはいないけれど、交わりもしない。

まだ戻らなくていい人にとって、ちょうどいい距離感だと思う。

静かに、時間だけが進む

川の時間は、一定だ。

急がず、止まらず、ただ流れている。そのリズムに身を置いていると、自分の中の時間も、同じ速さになる。

焦る理由が、見当たらなくなる。

戻りたくなったら、戻ればいい

ここは、ずっといる場所ではない。

でも、戻りたくなるまで、いていい場所だ。人の声が恋しくなるまで、何もしないままでいられる。

川は、私にとって、海の次にある避難場所だ。

まだ、ここにいていい

今日は、まだ戻らなくていい。

そう思える場所があること自体が、少し救いになる。誰にも説明しなくていい、誰にも見せなくていい。

人のいる場所に戻る前に、もう一度深呼吸するための場所。今の私は、ここにいるのがちょうどいい。

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