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街に戻ったあとの夜は、少し不思議だ。
昼間のざわめきや、移動の気配はもう終わっているのに、完全に日常に戻った感じもしない。体は家にあって、頭の中だけが、まだどこか静かな場所に残っている。
戻ったはずなのに、少し遠い
家に着いて、靴を脱いで、照明をつける。
いつも通りの動作をしているのに、感覚が少しだけ遅れてついてくる。街に戻ったはずなのに、気持ちはまだ、緑や海の側にある。
そのズレが、悪くない。
夜は、戻りきらなくていい時間
夜は、何かを取り戻す時間ではない。
昼に使った気力を、無理に回復させる必要もないし、明日の準備を完璧に整える必要もない。ただ、今日が終わっていくのを、静かに見送る時間だ。
だから、街に戻ったあとでも、少し戻りきらないままでいていい。
音を増やさない
この夜は、音を増やさないようにしている。
テレビをつけないこともあるし、音楽を流さないこともある。外の音が、うっすら聞こえるくらいがちょうどいい。
昼に外で見た景色が、音に邪魔されずに、ゆっくり沈んでいく。
何かをしない選択
街に戻ったあとの夜は、何かをしないことが多い。
用事を片づけたり、誰かに連絡を取ったりしない。ただ、動線の少ない部屋で、静かに過ごす。
何もしないことで、昼間に整えた感覚が、そのまま残る。
夜の飲み物は、控えめに
この夜に選ぶ飲み物は、控えめだ。
必ず何かを飲むわけでもないし、特別なものを選ぶわけでもない。喉が欲しがるものを、少しだけ。
昼の余韻を、上書きしないための選択。
外の明かりを見る
窓の外を見ると、街の明かりが点々と並んでいる。
昼ほど強くなく、でも完全に消えてはいない。人の気配が、距離を保ったまま存在している。
このくらいの距離なら、まだ安心できる。
戻ったことを、確認しない
今日はちゃんと戻れただろうか、などと考えない。
戻ったかどうかを確認する必要はない。家にいて、夜になっている。それだけで十分だ。
戻り方に、正解はない。
眠る前に、余白を残す
眠る前まで、少し余白を残しておく。
考えすぎず、詰め込みすぎず、今日の出来事を整理しすぎない。そのまま眠りに近づく。
街に戻ったあとの夜は、そうやって終わっていく。
また、明日につながる
この夜があるから、明日が始まる。
完全に切り替えなくてもいい。少し静けさを持ったまま、朝を迎えてもいい。
街に戻ったあとの夜は、次の一日への橋のような時間だ。理由はないけれど、その在り方が、今の私にはちょうどいい。

