朝の道を歩く時間

何気ない毎日が好き

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朝の道を歩く時間が、わりと好きだ。

特別な景色があるわけでもなく、毎日通るような道なのに、朝だけは少し違って見える。まだ完全に目が覚めていないまま、体だけが先に動いている時間。考えごとが始まる前の、静かな状態。

夜の道が一日の終わりを受け止める場所だとしたら、朝の道は、まだ何も始まっていない途中の場所だと思っている。

人も街も、準備中

朝の道には、完成していない感じがある。

店のシャッターはまだ閉まっていて、看板の灯りも消えたまま。通り過ぎる人も少なく、それぞれが自分のペースで歩いている。急いでいるようで、どこかぼんやりしている。

街全体が、これから動き出す前の準備をしているような空気。その中にいると、自分もまだ、何者にもなっていなくていい気がしてくる。

音が少ないと、考えも少ない

朝の道は、音が少ない。

車の音も、人の話し声も、昼間ほど強くない。代わりに、靴音や風の音が、やけに大きく聞こえる。

音が少ないと、頭の中も静かになる。考えなければいけないことは、たくさんあるはずなのに、今じゃなくていいと思える。朝の道は、思考を急かさない。

同じ道でも、時間で変わる

同じ道を、何度も歩いている。

昼に歩くと、ただの移動でしかない道。夜に歩くと、少しだけ感情が入り込む道。それが朝になると、また別の表情になる。

朝の道には、まだ昨日が残っていて、同時に、今日が始まろうとしている。その境目を歩いている感じが、なんとなく落ち着く。

店の前を通り過ぎるだけ

朝の道には、まだ開いていない店が並んでいる。

中に入るわけでも、立ち止まるわけでもない。ただ、シャッターの前を通り過ぎるだけ。それでも、夜に見る店とは違って見える。

準備中の店は、主張が少ない。まだ誰のものでもない時間の中に、静かに存在している。その距離感が、朝の道にはよく合っている。

急がなくていい朝もある

毎日が、ゆっくりした朝ではない。

時間に追われる日もあるし、考えごとをしながら歩く日もある。それでも、ほんの数分だけでも、朝の道を意識して歩くと、気分が少し変わる。

急がなくていい朝は、特別な予定がなくても、どこか得をした気分になる。

朝の道は、目的地じゃない

朝の道は、どこかへ行くための場所だ。

それ自体が目的になることは、あまりない。でも、その途中の時間があることで、1日の始まりが、少しだけやわらかくなる。

コーヒーを飲む前かもしれないし、飲んだあとかもしれない。ただ、朝の道を歩く時間があると、「これから始まる」という感じが、静かに整っていく。

今日も、通り過ぎるだけ

今日も、特別なことは起きない。

同じ道を歩いて、同じように通り過ぎる。それでも、朝の道を歩いたという感覚だけは、ちゃんと残る。

理由はないけれど、朝の道を歩く時間が好きだ。1日の最初に、余計なものを持たずにいられる。その感じを、しばらくは大事にしたいと思っている。

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